先日、「令和8年度 第1回埼玉県健康スポーツ医会学術講演会」にオンラインで参加しました。

私は約20年前に日本医師会認定健康スポーツ医の認定を受けました。

当時、健康スポーツ医というと「スポーツ選手、アスリートを診るための医学」というイメージが強いものでした。その後も資格を維持するため再研修会を受講してきましたが、アスリートを診療する機会がほとんどない私にとって、正直なところ「認定更新のための単位取得」が目的になっていたこともあります。

 

ところが、今回は違いました。

講演のテーマを見たときから、「これは聞いてみたい!」と思う内容ばかり。

そして実際に受講してみると、これからの健康スポーツ医学は、特殊な競技をする人だけのものではなく、私たち一人ひとりが健康に生きていくための医学なのだと、あらためて感じました。

 

「運動」を医学として考えてみる

最近、私自身が以前より積極的に運動するようになりました。

運動を続けるうちに、比較的よく眠れるようになり、以前悩まされていた慢性的な腰痛もなくなりました。

一方で、実際に運動しているからこそ、「痛い」「きつい」と感じるときには無理をしないことの大切さも実感しています。

自分自身の経験として運動の良さを感じるようになったからこそ、体験談だけで終わらせたくないと思うようになりました。

 

本当に医学的なエビデンスはあるのか。

どんな運動を、どのくらい行えばよいのか。

年齢や病気によって注意すべきことは何なのか。

 

医師としてもう一度きちんと学び、予防医学や運動療法について、科学的根拠を確認しながら一般の方にも分かりやすく伝えていきたいと思っています。

 

今回の講義では「Exercise is Medicine」という言葉も紹介されました。

もちろん、必要な薬物療法を運動に置き換えればよいという意味ではありません。

私自身、食事・運動・睡眠など日々の生活を整え、自分の身体そのものをつくっていくことを、もっと大切にしたい。そして、それでも必要なところには適切に医薬品の力を使う。そんなバランスに敏感でありたいと思っています。

 

フレイル・サルコペニアは「未来の自分」の問題

今回、特に興味深かったテーマの一つが、フレイルとサルコペニアでした。

まだ普通に歩ける。
日常生活にも困っていない。

そんな段階では、自分の筋肉が減っているかどうかなど、なかなか意識しません。

しかし、フレイルやサルコペニアは、ある日突然始まるものではありません。

だからこそ、早い段階で自分の身体の変化に気づくことが重要です。

 

まずは「指輪っかテスト」をやってみませんか?

今回の研修で、とても印象に残ったのが「指輪っかテスト」でした。

特別な測定機器を使わず、両手の親指と人差し指で作った輪でふくらはぎを囲む、とても簡単なセルフチェックです。

「こんなに簡単な方法で、自分の筋肉の状態に目を向けるきっかけがつくれるんだ!」

と、とても興味を持ちました。

 

公益社団法人かながわ福祉サービス振興会が運営する「かながわフレイルナビ」では、イラストを見ながら実際に指輪っかテストを試すことができます。

しかも、チェックできるのは筋肉だけではありません。栄養、口腔、運動、社会性やこころについても振り返ることができます。

まずは一度、ご自身の「今」をチェックしてみませんか?

https://frail.kanafuku.jp/check/?utm

 

①両手の親指と人差し指で輪を作る
②ふくらはぎの最も太い部分を囲む
③「囲めない」「ちょうど囲める」「隙間ができる」の3パターンを図示
※指輪っかテストは簡易的な自己評価法であり、サルコペニアの確定診断を行うものではありません。

 

健康スポーツ医として、地域へ

今回の研修を受けて、健康スポーツ医に対する私自身のイメージが大きく変わりました。

診察室の中で病気を診るだけではなく、運動、食事、フレイル予防などについて医学的エビデンスを確認し、それを一般の方に分かりやすく伝える。

そんなことも、医師にできる大切な仕事です。

機会があれば、地域のいきいきプラザや高齢者施設、介護施設などにも出向いて、健康づくりや予防について皆さんと一緒に考える活動をしてみたいと思っています。

そして今回、これほど興味深く、実践につながる内容を参加費2,000円で学ぶ機会をいただけたことにも感謝しています。

素晴らしい研修会を企画・運営してくださった埼玉県医師会、埼玉県健康スポーツ医会をはじめ、関係者の皆さまに心より御礼申し上げます。

 

未来の自分を想像してみる

この記事を読んでくださった皆さんにも、一度立ち止まって、今の自分を観察してみてほしいと思います。

数年後の自分を想像してみてください。

「病気にならないようにしなければ」

「介護が必要にならないようにしなければ」

そんな未来だけを考えるのではなく、

 

数年後、どんな自分でいたいだろう?

と考えてみませんか。

元気に旅行をしている自分。

好きな場所を自分の足で歩いている自分。

新しいことに挑戦している自分。

未来の自分を想像して、少しワクワクしてみる。

私自身も、そんな未来のために、運動や食事、日々の生活を楽しみながら整えていきたいと思います。